バンドのいない夜
このサイトで紹介している会場は、基本的にすべて生バンドが出演するライブハウス。でも東京には、ステージもバンドもなく、店主が何十年もかけて集めたレコードと本格的な音響設備だけで聴かせる「リスニングバー」という文化がもうひとつある。戦後のジャズ喫茶の流れを汲む店が多く、選曲もリクエストの作法も店ごとに違う。ライブハウスとは体験の質がまったく異なるので、会場一覧には混ぜず、このページで別に紹介する。
新宿・歌舞伎町 — 2002年開業
メタル専門のリスニングバー。海外のメタルファンが東京に来たら必ず立ち寄る、いわば聖地のような店。ライブはなく、膨大なメタルのレコードを大音量でかけるスタイル。リクエストは紙に書いて渡す昔ながらの方式。
渋谷 — 1969年創業
らせん階段でつながる薄暗い3フロア、木の壁には歴代の客が残したポスターと落書きがびっしり。もとはライブハウスとして始まった店で、1階は今では完全なリスニングフロアだが、上のフロアでは今もときどきライブが組まれる。リクエストは紙に書いて出す方式で、ロックとジャズ以外は基本的に受け付けない。
渋谷 — 40年以上の老舗
「一曲一枚」でじっくり聴かせるスタイルを、今それが流行る何十年も前から続けてきた店。かかるのは主に70年代のAOR、ファンク、ソウルのレコードだが、店主は今の音楽にもちゃんと耳を配っている。
三軒茶屋 — 1977年開業
創業者の息子と母親が今も切り盛りする家族経営のジャズ喫茶。3,000枚を超えるジャズのレコードと自家焙煎のコーヒーが売りで、選曲はその日の空気で店主が決める。リクエストは受け付けていない。
下北沢 — 1999年開業
学生時代から集め続けてきたという15,000枚超のレコードが並ぶ、細長く照明を落とした店内。60年代ソウルからダンス、クラシックジャズ、ファンクまで幅広くカバー。チャージ500円・現金のみで、レコードバーにしてはラム酒の品揃えがやたら豊富。
渋谷
DJの中村智昭氏が営む店で、ジャズとブラジル音楽を軸にワインも充実。気に入った一枚があれば、その場で買い取れることも多い。
代々木
複数のDJが日替わりで選曲を担当するため、シティポップ、オルタナ、ニューヨーク・ジャズ、和ソウルと日によってジャンルが変わる。リクエストは700円。自分のレコードを持ち込んで、いい機材で聴かせてもらう常連もいる。
渋谷
ダンスミュージックのレーベル「Mule Musiq」を主宰する川崎稔氏が営む店。リスニングバーの形式に自然派ワインを組み合わせ、機材もクリプシュのスピーカーやトーレンスのターンテーブル、マークレビンソンのアンプとかなり本格的。ドリンクメニューの掲示はないので、注文前に値段を確認するのが無難。